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を意識

「パンっぽい匂いがしているってことだ」
パンの匂いをイースト菌と表現してきたのがなんか面白かった。
ひとまず私の幻想じゃないことは、彼女との会話ではっきりした。いやはっきりしたのかな?
でも、かすかに匂いがしてるって言ってるし。やはり気になるところではある。
この匂いを意識し始めたのは1月に入ってからだ。
例えば誰かが正月から突然習慣的に線香を焚き始めたとして、その匂いが建物全体を覆うことなんてあるのだろうか?
そもそも、線香なのだろうか?ひょっとして老朽化した建築材とかが線香臭を放つことでもあるのだろうか?
一体どこから発生しているのだろう?全く原因の見当がつかない。
まぁ、生活に支障が出ているわけでもないし、あまり気にしても仕方がないのかもしれない。
彼女のいうとおり、まぁいい。そのうち慣れるか、消えるさ。
そうこうしているうちに、2月も後半になった。
相変わらず、線香の匂いはしていて、しかも日に日に強くなり、慣れるということはなく、不快感が増していくだけだった。


そんなある日、帰宅したときのことである。
この日私は、中心街で夜までCMフェスティバルを鑑賞していたため、辺りはすっかり暗くなっていた。
アパートの前に到着すると、駐車場がなにやら騒がしくなっているのがわかった。
薄暗い街灯が照らすなかで、人だかりができていた。黒いスーツを着たガタイのいい男たちが群がっていたのだ。
アパートの階段を見上げると、隣人のヤンキーが二階の廊下の手すりに寄りかかって、その様子をじろじろと眺めているのが見えた。
ヤンキーとヤクザの争いごとでもあったのかとも一瞬思ったが、どうもそうではないらしい。
とりあえず階段下の駐輪場に自転車を止めるべく、その正体不明の群集をそそくさとすり抜けて移動してみせた。
すると駐輪スペースの前で中年の男女、おそらく夫婦が支え合って涙を流していた。
大規模な取り立てでもあったのだろうか?そもそも、こんな夫婦いたっけ?と疑問に思いながら私は一礼して、その奥に自転車を静かに止めた。
状況がよくかわからないけれど、なにかただならぬ空気だったので、その場に長居するのがなにかいたたまれない。
そのため即刻にこの場を立ち去りたかった。急いで自転車に鍵をかけて、二階にかけあがりたいと思ったそのときだった。
一階の少し奥から扉が開閉する音が聞こえ、複数の足音が
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