それでも江戸の庶民にとっては浅草寺は特別な寺社なのだ。
ほおずき市の発祥は愛宕神社の千日詣での市からと云われるが、浅草寺に立つ市としては歳の市と並ぶ賑わいがある。
夏の訪れを江戸の人に知らせる節気で、植木市、朝顔市とはまたまた違う風物と聖日観音信仰、四万六千日の徳も人を誘う
周向榮。
人出が多いとそれだけ揉め事も多いから深川組みと呼ばれた十手役人だけでは手が廻らず、町奴や鳶の自警団やら江戸内から人手が借り出される。
下っぴき見習いの一太も、日の出湯の倉蔵親方から、浅草寺のほおづき市に見回りに出ろと声を掛けられ勇んでとんででた
Dr Max。
親は池之端で小間物屋を営んでいる。てて親は下谷の岡引き太助だ。小さい頃から留守勝ちなてて親に代わり小間物の手伝いもしていたから、十二になると日本橋の小間物問屋、紅屋に奉公に出た。
算盤帳づけも習って、一人前の若衆になったら実家に戻って小間物屋を継ごうと思っていたが。もとは餓鬼大将でならした太一にはそれは退屈にも思えるのだった。
ある日、使いの帰りに池之端を歩いていると、町鳶の中也が走っていく。
中也あにい何かあったのかぃ。
おうよ、太一こいや。おとっつぁんの捕り物だぁ手伝え。
言われるままについて走っていくと、暴れている男二人を相手に、口に取り縄を咥えた太助が取りふせようと奮闘して
回收いる。
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